共有持分(自分の持分だけ)を担保にお金を借りる方法
親から相続した実家や、夫婦・兄弟で共同購入した不動産など、ひとつの不動産を複数人で所有している「共有名義」は珍しくありません。そうした不動産で、ほかの共有者を巻き込まずに「自分の持分だけ」を担保にお金を借りられないか、と考える方は多いはずです。結論からいえば、自分の持分のみを担保に入れること自体は、他の共有者の同意なしに行える可能性が高いとされています。一方で、銀行など多くの金融機関は共有持分単独の融資に消極的なことが多く、共有持分を扱う専門のノンバンクを探す必要が出てきます。この記事では、共有持分が嫌われる理由、自分の持分だけでも担保にできるのか、借入可能額の目安、専門ノンバンクの探し方と注意点までを、できるだけ公平に整理します。なお、融資の可否や条件は各社の審査によって異なります。
1. 共有持分とは・なぜ銀行は嫌うのか
共有持分とは、ひとつの不動産を複数人が共同で所有しているとき、それぞれの所有者が持つ「権利の割合」を指します。たとえば兄弟2人で実家を相続して2分の1ずつ持っている、夫婦で資金を出し合って購入し持分を3分の2と3分の1に分けている、といったケースです。登記上は「共有者○○ 持分2分の1」のように、各人の割合が記録されています。共有持分は法律上れっきとした財産であり、原則として各共有者が自分の持分を自由に処分(売却・担保設定)できると考えられています。
ところが、銀行をはじめとする多くの金融機関は、共有持分「だけ」を担保とする融資に消極的なことが多いのが実情です。その主な理由は、共有持分が単独所有の不動産に比べて換価(現金化)しにくい点にあります。万一返済が滞って担保を処分しようとしても、共有持分だけを市場で買い取る相手は限られ、不動産全体を自由に売却・利用できるわけではありません。共有物の変更や処分には、ほかの共有者との関係が絡む場面もあり、権利関係が複雑になりがちです。担保としての回収可能性が読みにくいため、慎重な金融機関ほど取り扱いを避ける傾向があります。こうした事情から、「共有名義だから」「自分の持分だけだから」という理由で、一般的な銀行の不動産担保ローンでは断られてしまうことがあるのです。
2. 自分の持分だけでも担保にできるか(他共有者の同意の要否)
「自分の持分だけ」を担保にできるかどうかは、多くの方が最初に気にする点です。一般的な考え方として、自分が持っている共有持分のみを担保(抵当権の設定など)に入れることは、ほかの共有者の同意なしに行える可能性が高いとされています。これは、自分の持分は自分の財産であり、その範囲内での処分は本人の判断で行えると考えられているためです。つまり、ほかの共有者に知られたくない、同意を取り付けるのが難しい、といった事情があっても、自分の持分だけであれば担保設定の道が残されている場合があります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、いくつか押さえておきたい前提があります。
- 担保に入れられるのは「自分の持分」の範囲まで:あなたの持分が2分の1なら、担保にできるのもその2分の1の権利であって、不動産全体ではありません。
- 不動産「全体」を担保にするには共有者全員の同意が必要:より大きな評価額・借入額を狙って不動産全体に抵当権を設定する場合は、共有者全員の協力が前提になります。自分の持分のみか、全体かで、必要な手続きが大きく変わります。
- 個別の権利関係によって扱いは変わる:持分の経緯や登記の状況によっては慎重な確認が必要になることもあります。具体的な可否は、対応する金融機関や登記の専門家に確認するのが確実です。
登記の現況は、法務局で取得できる登記事項証明書などで確認できます。自分の持分割合や、すでに設定されている権利(既存の抵当権など)の有無を把握したうえで相談に進むと、話がスムーズです。
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3. 借入可能額の目安(持分割合で評価が下がる傾向)
共有持分を担保にする場合、借入可能額の前提となる担保評価は、持分割合に応じて算定されるのが基本です。たとえば不動産全体の評価がある金額だとして、あなたの持分が2分の1なら、評価のベースもおおむねその割合に対応する範囲にとどまります。不動産全体を単独で所有している場合と比べて、評価額・借入可能額は限定的になりやすい、と理解しておくのが現実的です。
さらに、単純な「全体評価 × 持分割合」よりも控えめに見積もられる傾向もあります。前述のとおり共有持分は単独所有より換価しにくく、担保としての回収可能性が読みにくいため、その分のリスクを織り込んで評価が保守的になりやすいからです。したがって、
- 単独所有より評価額・借入可能額は限定的:同じ不動産でも「全体」を担保にできる場合と「自分の持分だけ」の場合では、見込める金額に差が出やすくなります。
- 持分割合が小さいほど評価額も小さくなりやすい:持分が小さいほど、担保として見込める範囲も狭まる傾向があります。
- 金利は相対的に高めになりやすい:取り扱いが難しい分、一般的な目安として、ノンバンク系の金利水準(年2.5%〜15%程度/2026年6月時点の一般的目安)の中でも高めに位置づけられる場合があります。実際の金利・限度額は物件と申込者の状況、各社の審査によって決まります。
具体的にいくら借りられるかは、持分割合・物件の所在や種類・既存の権利関係・申込者の返済力などを総合して各社が個別に審査します。本記事で個別の限度額を断定することはできませんので、目安を知りたい場合は、共有持分に対応する会社へ実際の登記情報をもとに相談するのが近道です。
4. 共有持分に対応する専門ノンバンクの探し方
銀行で断られても、共有持分を含む特殊な不動産を専門的に扱うノンバンク(貸金業者)であれば、相談に乗ってくれる場合があります。やみくもに申し込むのではなく、次のような視点で探すと、相性の良い相談先にたどり着きやすくなります。
- 「共有持分」「特殊物件」を明示している会社を選ぶ:商品説明やよくある質問で、共有持分・借地・底地・再建築不可といった取り扱いを明記している会社は、最初から土俵に乗りやすい傾向があります。
- 抵当順位・既存借入の条件を確認する:すでに住宅ローンなどの抵当権が付いているか、第二抵当でも可能かなど、自分の状況に合うかを早めに確認しましょう。
- 対応エリアを確認する:会社によって対応できる地域が限られることがあります。物件の所在地が対象エリアに入っているかをチェックしてください。
- 複数社で比較する:1社の回答だけで判断せず、条件・諸費用・対応の丁寧さを複数社で見比べると、無理のない選択につながります。
- 正規の貸金業者かを必ず確認する:金融庁の「登録貸金業者情報検索」などで登録の有無を確認し、登録のない違法業者(ヤミ金)には絶対に近づかないでください。「審査なし」「誰でも即融資」といった甘い言葉には注意が必要です。
共有持分は審査の難易度が上がりやすい分野です。だからこそ、最初から「共有持分に対応している」と分かっている会社に絞って相談したほうが、断られ続けて時間を浪費するリスクを減らせます。
5. 注意点
共有持分を担保に借りる場合は、一般的な不動産担保ローン以上に、次の点に注意してください。
- 担保にできるのは持分の範囲まで:自分の持分以外(ほかの共有者の持分や不動産全体)まで勝手に担保にすることはできません。全体を担保にしたい場合は共有者全員の同意が前提です。
- 返済できないと持分を失う可能性がある:不動産担保ローンは担保があるため無担保より通過の余地が広い一方、返済不能になれば担保とした持分を失うリスクがあります。共有持分が処分されると、結果的にほかの共有者との関係に影響が及ぶこともあります。
- 評価・金利の条件は厳しめになりやすい:持分割合での評価で借入可能額が限定的になり、金利も高めになりやすい点を踏まえ、総返済額で無理がないかを必ず確認してください。
- 諸費用を含めた総コストで比較する:事務手数料、抵当権設定にかかる登録免許税や司法書士報酬、調査・評価費用などが発生する場合があります。金利だけでなく総額で見比べましょう。
- 違法業者に注意する:取り扱いの難しさにつけ込む業者もいます。必ず正規登録を確認し、契約内容に不明点があれば弁護士などの専門家や公的窓口に相談してください。
判断に迷うときや、すでに返済が苦しいときは、一人で抱え込まず、金融庁の相談窓口や日本貸金業協会などの公的な窓口を利用してください。早めの相談が、最悪の事態を避ける助けになることがあります。
6. まとめ
- 共有持分は法律上の財産であり、自分の持分のみなら他共有者の同意なしに担保にできる可能性が高いとされています(不動産全体を担保にするには全員の同意が必要)。
- 共有持分は換価しにくいため、銀行など多くの金融機関は単独融資に消極的なことが多く、共有持分を扱う専門ノンバンクを探す必要があります。
- 担保評価は持分割合に応じて算定され、単独所有より評価額・借入可能額は限定的になりやすく、金利も高めになりやすい傾向があります。
- 「共有持分」「特殊物件」を明示する会社を選び、対応エリア・抵当順位・正規登録を確認したうえで複数社で比較しましょう。
- 返済不能時は持分を失うリスクがあります。総返済額で無理のない計画を立て、迷ったら専門家や公的窓口に相談してください。
出典・参考
- 金融庁 https://www.fsa.go.jp/
- e-Gov法令検索(貸金業法・利息制限法等) https://elaws.e-gov.go.jp/
- 日本貸金業協会 https://www.j-fsa.or.jp/
※金利等の数値は2026年6月時点で確認した公開情報に基づく一般的な目安です。共有持分の取り扱い・評価・条件は各社の審査や個別の権利関係によって異なります。最新の条件は各社・各公式の情報をご確認ください。